宇宙誕生直後≪これまでのおさらい≫
宇宙は原子よりも圧倒的に小さい空間から始まりました。
宇宙には何の物質もなく、ただただ真空のエネルギーが満たされていたのです。
その後、膨大なエネルギーが解放されながら、宇宙はインフレーションによる加速度的な膨張、ビッグバンによる灼熱の状態を経て、少しずつ、私たちが住む地球が浮かぶ「空間」に近づきつつあります。
しかし、この宇宙の主役がまだ登場していません。
今回は、宇宙の主役の一つ、「恒星」が誕生するお話です。
ファーストスターの誕生
原子の誕生によって、宇宙の晴れ上がりが起こった後、数億年は宇宙に大きな変化が起こることはありませんでした。
しかし、宇宙に恒星が誕生するための準備が着実に進んでいたのです。
宇宙の晴れ上がりが起きた後、宇宙は、ほとんど水素とヘリウムのガス(気体)だけが漂うだけの空間でした。
私たちの日常生活の中では感じることはありませんが、ガスにも僅かながら「重さ」があります。
そのため、その重さによる重力が周囲に働くことで、元々ガスが多く集まっていたなどで、重力が大きかった場所にガスが徐々に、それこそ数億年の時間をかけて集まってきました。
宇宙誕生から3億年後
ガスが濃い空間は宇宙のあちこちで発生し、その重力の働きによって、さらに周囲のガスが集まり、とうとう、宇宙に「天体」と呼べるようなガスの塊ができました。
そして、ガスの塊の密度がどんどん高くなり、圧力や温度が上昇していくと、中心部分で核融合反応が始まりました。
「恒星」の誕生です。
このとき誕生した恒星は、宇宙で誕生した最初期(第一世代)の恒星であることから、「ファーストスター」と呼ばれています。
ファーストスターは、どの星も非常に巨大であった考えられています。
一説によると、ファーストスターは太陽に比べて、質量は数十倍もあり、明るさは数十万倍もあったそうです。
恒星は元素の製造工場
ファーストスターの中心では、核融合反応が続きます。
核融合反応の第一段階では、4つの水素(H)が融合してヘリウム(He)が合成されます。
そして、ヘリウム(He)が核融合反応を起こし炭素(C)や窒素(N)などの重い元素がどんどん合成されていきました。
誕生したばかりの宇宙には、水素やヘリウムなどの軽い元素しか存在していませんでした。
理科の授業で勉強した様々な元素は、こうしてファーストスター(と、その後も誕生しつづける恒星)の核融合反応によって誕生していったのです。
ファーストスターの大爆発(スーパーノヴァ)
ファーストスターも永遠の存在ではありません。
ファーストスターを含めた恒星は、その重さ(大きさ)によって寿命が異なります。
大きい恒星ほど寿命は短く、小さい恒星ほど寿命は長いのです。
そして、寿命が尽きようとする恒星はしだいに膨張していき、最後は「超新星爆発(スーパーノヴァ)」と呼ばれる大爆発を起こして死を迎えます。
ファーストスターも同様です。
ファーストスターの場合、誕生から約300万年が経つ頃には、誕生時の大きさから100倍以上もの大きさに膨れ上がっていたと考えられています。
太陽の大きさの数十倍はあったとされるファーストスターが、最後には100倍以上の大きさになり、大爆発を起こす。
宇宙のスケールの大きさには驚かされます。
ところで、ファーストスターの核融合反応によって合成された様々な元素が、スーパーノヴァによって宇宙にばらまかれることになりました。
その後、最初にファーストスターが誕生した時のように、重力の力によってたくさんの元素が集まり、第2世代以降の恒星が作られていくことになります。
そして、幾度となく恒星の誕生、スーパーノヴァが繰り返されていく中で、この地球や太陽さらには私たち人間の身体をつくっている元素も作られていったのです。
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